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BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

「ありがとう」と言われない仕事をする

雑記

職場体験学習やインターンシップに来た若者に、司書という職種の魅力を伝えようとして、「この仕事は、お客様に『ありがとう』と言っていただける機会が非常に(おそらく、公務員としてはトップレベルに)多い」ことを挙げたりする。
仕事なのに、お礼を言っていただける、とてもうれしくて、ありがたくて、ああ、この仕事をしていてよかったな、もっと頑張ろう、と思うこともたびたびだ。きちんと業務をこなして、お礼を言っていただいて、それに影響されてもっとよいサービスを提供したいと思う、まさに好循環であり、単純にいいことのような気もする。
けれど、お礼を言ってくださる目の前のお客様に気をとられると、その背後には、倍以上の数の「お客様候補」が隠れていることを忘れがちになる。お客様候補の一人ひとりは、お礼どころか、図書館が嫌いなのかも知れないし、(もっと悪いことに)全く無関心なのかもしれない。遠方に住んでいて利用したくてもできないのかもしれないし、読みたい本は自分で買う派なのかもしれないし、未来に暮らしている!お客様候補だって当然考えられる。
あるいは、お客様にありがとうと言っていただく必要すらないようにすること、自分でなんの助けもなく必要なものを得られる環境をさりげなく整えていることの重要性を、意識的・無意識的に無視してしまうことにもつながる。書誌データを修正するのも、館内表示を考えるのも、レファレンス記録を分析して新しいサービスにつなげるのも、だれも面と向かってお礼を言ってはくれないけれど、とても大事で、確実に誰かの役に立つ仕事だ。
エルゼアール・ブッフィエほど高潔でも忍耐強くもないけれど、「ありがとう」と言われない仕事をしたい。
木を植えた男