BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

変わることを楽しむチカラ

もう巳年も終わり、もうすぐ新年なので、一年の総括と来年の抱負を兼ねて、先日(つか、もうふた月も前だ)参加した"図書館海援隊フォーラム2013"で考えたことを一つだけ。

発表事例は、非常に中身が濃かった。病院と連携してがん情報の市民講座を開いたり、商工農部局とタッグを組んで地場産品の振興に一役買ったりといった、いわゆる課題解決支援サービスの先進事例がこれでもかと紹介されていた。そのあまりの(良い意味での)図書館っぽくなさ、司書っぽくなさに、質疑のなかで、「こんなことができる人材を育てるためには、司書課程で何をどのように教えたらよいのか」、というような質問が、司書養成関係の方から出されていた。

その場の結論としては、伝統的な司書課程や図書館関係団体の研修はこういう取り組みには直接役に立たない、それよりも、マーケティングやマネジメントなど、広い意味での経営学的な知識や技能が必要、というところに落ち着いてたように思う。

まったく賛成だけど、自戒を込めて蛇の足をつけ加えるならば(まだ巳年だし)、努力すれば自分は変われるという考え方、変化を恐れず、むしろ変わることを楽しめる心のあり様を身につけ(させ)ることが大事だと思う。『プレイフル・シンキング』という本でいう、変化を楽しめる「プレイフル」な人材が、これからの業界にはもっと必要なのだ。

最新の事例発表を聞いても、優れたワークショップを体験しても、「すごいなあ、でもあたしには(ウチの部署じゃあ)無理だな」と思ってしまったら先へは進めない。あの人と組んだら、ここをこうアレンジしたら、できるかも!、と思えることが何より大事。しかも、これは資質ではなくて、後付けで身につけることができる「思考法」なので、教育やセルフラーニングが関与できる余地が十分ある。

図書館を取り巻く環境は厳しい。いろいろな要素が複雑に絡み合っていて、自分の立ち位置を見出してそれを保つのが難しい今日コノゴロ。遺していくことが大きな仕事のこの業界は、とかく保守的になりやすい。そんななかで、変化を楽しめる力は、強力な武器にもなるし、身を守る盾にもなるのでは、と思う。そもそも、業界の表看板である「生涯学習」って、生涯「変わり続ける」ことだし。

新年を迎えて年が変わると、人も生まれ変わる、と昔の人は考えていたという(典拠忘れた)。せめて新年の時ぐらい、自分は変われる、変わるのは楽しい、めでたいこと、と思えるようになりたいなあ、と思う、文系男子であった。

蛇足の蛇足。司書(課程)の人は『プレイフル・シンキング』と、『人を助けるとはどういうことか』は読んどいたほうがいいと思う。前者は、状況に合わせて楽しく創造的に仕事をするために、後者はお客様目線でサービスやサポートをするために、とても大事な本だと思う。