BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

レファレンスサービス、君の名は

遅まきながら、『日本の図書館におけるレファレンスサービスの課題と展望』をちまちま読んでいて、おっと思ったことがある。レファレンス質問の受付スぺースの名称に関する分析のところだ。

多くの図書館で、レファレンスの受付スペースの名称や案内表示が違っていることを指摘し、「利用者向けの平易な表現が用いられていること,また,多様な名称が用いられていること」(64p)に一定の理解を示している。そのうえで、同じサービスの名称が図書館によって異なることに「利用者を混乱させることにつながる危険性もある。すなわち,レファレンスサービスを普及させるという点では,デメリットになることに目を向ける必要がある」(同)とあって、そういう考え方もあるなあ、と思った。

レファレンスサービスの根づかなさの理由を、その呼称のなじみのなさ、わかりにくさに求めることはよく云われるところ。で、同書に挙げられている例でも、「「相談カウンター」「レファレンスデスク」「読書案内」「参考図書コーナー」「本の案内」」(63p)等々、各館で様々に「わかりやすくする」ための言い換えがなされているようだ。とはいえ、なかなかコレという決定版があるわけでもなく、わかりやすく言い換えれば言い換えるほど、異名ばかり増えていくというジレンマに陥っている。

もちろん、同書も指摘するとおり、レファレンスサービスの中身自体、図書館によって差があることも大きく影響してるのだろう。

いっそのこと、日本図書館協会がレファレンスサービスの呼称を公募して決めたらいかがか、とか思う。まあ、E電(古いな)しかり、母さん助けてなんとかしかり、お仕着せの名前って、これまたなかなか根付かないもんだけど。それとも、インパクト重視でキラキラネームっぽい四字熟語にしてみるとか(以下自粛)。

ちなみに、最近、巷でよく聞くようになったコンシェルジュって言葉も、かゆいところに手の届くホテルの総合案内人や有能な執事なんかを漠然と想像するけれど、『モバイルミュージアム』によると、創造的な自主企画ではなく、お仕着せの巡回展やお決まりの所蔵品展でお茶を濁している学芸員のことを、フランスでは皮肉をこめて「コンシェルジュ(管理人)」と呼ぶそうだから(p17)、必ずしもいい言葉ではなさそうだ。

呼び方って難しい、と思った今日コノゴロ。