BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

図書館員はブックディレクターの夢を見る

行きつけのパン屋さんがある。美味しいのはもちろん、イートインがあってコーヒーも無料で飲めるので、休日の遅めの昼食なんかにとても重宝している。で、そこのイートインはちょっとしたカフェっぽくなっているのだけど、本棚なんかもあったりする。ただ、その棚の中身がちょっと残念な感じ。
スカスカの棚に、申し訳程度に置かれているのは、箱入りの個人全集(箱から出された形跡なし)とか、国語の辞書(誰が読むの?)とか、自然科学系のノンフィクション(個人的には好みだけど……)とか。日の当たる窓に面しているから、日焼けもひどい。ディスプレイだとしても、たぶんマイナスでしかないだろう。なんだかもったいない。
勝手にテコ入れ(by 小山薫堂氏)ってわけでもないけど、ちょっと自分なりに夢想してみる。いわゆるブックカフェとは違い、あくまでおまけ的なイートインだから、間取りもゆったりしていないし、コーヒーのお代わりが出来るわけでもない。そもそもそんなに長居させる業態ではない。お店自体も結構流行っているようで、頻繁に人が行き来している。お客様にしても「棚の本にふと目が留まって、ゆっくり読書」なんてあまり期待されていないだろう。
それなら、ディスプレイと割り切って、お店の雰囲気に合わせた洋書や写真集を置いてみたり、装丁のきれいな絵本を面陳してみたらどうだろう。あるいは、ちょっとの隙に読める詩集や短編集(それこそ百年文庫とかシンプルでよさそう)を置いてみるとか。読む読まないは別として、パンに関する専門書やパン職人の本、食に関する本を所狭しと並べて、お店のコンセプトを表現してみるのはどうか、などなど。
本職のブックディレクターには及びもつかないかもしれないけれど、棚一つでいろんなことが表現できそうな気がする。これって図書館で実現できないかな。団体貸出の形で定期的に入れ替えれば、過度に日焼けすることも防げるし。どこかが既にやってるのかもしれないけど、いわゆるビジネス支援として結構有効なのでは、と思った今日コノゴロ。