BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

職業病の一病態としての“本”特集愛好症

雑誌の“本”特集や読書特集を見つけると、たいてい買うようにしている。
ダ・ヴィンチ』のような、一冊丸ごと“本”特集みたいな、総合的な書評誌はあまり読んでいない。それよりも、単発の特集記事、例えば『日経ビジネスassocié』や『The21』みたいなビジネス誌がほぼ定期的にやってるビジネス本特集とか、『考える人』に時々載るテーマ性のある“本”特集とかが好きだ。あと、最近では『Number』に載ってた「アスリートの本棚」のような、様々な分野の著名人がお勧めする本とか、『大法輪』の仏教書特集みたいな、その分野の定番の本の紹介とかがいい。そういえば、小・中学生のころ、国語の便覧に載ってる名作文学のダイジェストを読むのが好きだったな、とか思う。
こういう特集で採りあげられてるのは、古典的、定番的、ロングセラー的な本が多い。本来、図書館は扱うべきは、こういう本たちじゃなかっただろうか。新刊を追っかけるのもいいけれど、ちゃんとロングセラー・定番本の所蔵チェックもすべきだし、そういう本も新しく買ってます・置いてますと、お客さまに分かるようにしておくべきだろう、なんて思う。
それと、“本”特集で、本を選んだりお薦めしたりしている人たちは、斯界の著名人だったり、名のある知識人・読書人だったり、あるいは著者、書店員、ブックディレクターだったりする。でも、そこに図書館員とか司書とかいう肩書きの人が入ることは少ない。公の機関に籍を置く人間が、こういう場で意見を述べるべきではない、というのもあるのかもしれない。でも単に、世間では、図書館員は本を読んでない、司書は人に本を薦められるほど知識も権威もない、と思われているに過ぎないのではないか。
「面白い本、ない?」と聞かれることが一番難しい、とは、業界人の間ではよく言われる。でも、ほんとにそんなこと聞かれたことがある? お客様から、よくそういう声かけをしていただける、と胸を張って言える司書が、いったい何人いることやら(自戒を込めて)。