BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

レファ協DIY事例あれこれ

DIYとかサバイバル、手持ちのもので自分で何とかする、が好きだ。

ぶきっちょでモヤシっ子(死語)なので、自分では全くできないし、する気もないけど、興味だけは妙にある。なので、レファレンス協同データベースでその手の事例を見つけると、気になってつい見てしまう。果ては勝手にDIY事例と名付けて密かな楽しみにしている。

DIY事例は、趣味的なものから、生活・ビジネスに活かすためかなと思われるものまで、多種多様。特に、衣食住に関するものは多い。

レファ協に事例として登録されるということは、同じ質問がよくなされる、他館や他のお客様の参考になる、ということもあるだろう。けど、質問や調査過程が風変わりだったり、面白かったりするということもまたある。DIY事例だと、なんでこんなものを?というような事例も多い。 

自分で〇〇を作ってみたい、が昂じて?、〇〇のための道具を作ってみたい、なんてのもある。

DIY事例に限らず、レファ協の事例をつらつら眺めていると、図書館側の、緻密な調査や快刀乱麻の回答もさることながら、お客様の質問の意外さに驚かされることがしばしばある。そんなもの自分で作ろうとか思う人がいるんだ、とか、そんなこと考えたこともなかった、とか。実際の現場でも、質問があってはじめて、そのことが書いてあるこんな資料があるんだ、と気付かされることが多い(新米レファレンサーなもんで)。

レファレンスって、お客様との相互作用で成り立ってるんだなと、あらためて思う今日コノゴロ。

 

蛇足:DIYな質問を実際に受けたときよく使うのは、目次情報が検索できるWebcat Plus Minus。同じくNDLデジコレも目次が検索できて便利。服の仕立て方なんかは、家で縫うのが当たり前だった頃の古い本のほうがちゃんと載ってたり。食品、農産物、手仕事・山仕事は、なんといってもルーラル電子図書館。なんでも自作しちゃうお百姓さんのバイブル、「現代農業」の記事は最強。あと、児童書は何かと写真やイラストが多いし、基本的なことが押さえてあるので重宝する。これまた農文協さんの「食べもの絵本」のシリーズとか。

2018年の気になる図書館システム関係覚書

2017年中に気になっていて、これからも個人的に注目していきたい図書館業務システム(主に公共)、ウェブサイト及びサービス、デジタル資料などについて、ざっとまとめる。昨年からシステム担当ではなくなってしまったし、総合展とかにも全然参加できていないので、情報偏ってますがあしからず。なお、主に公共図書館を対象とした、2018年1月10日現在のお話です。ちなみに昨年のはこちら

図書館業務システム関係

例によって大きな変更はないものと思われる。クラウド化のさらなる進展くらいか。図書館って、基本保守的なところだし、業務自体も今のところはまだ旧態依然なので、業務システム自体の進化は滞っているように思われる。でも利用者は確実に変わっているので、せめてインターフェースくらい今風に、例えば音声入力・フリック入力に標準対応したOPACとかは普通にどんどん出てきて欲しい。

また、マイナンバーカードの図書館利用実証実験が2017年秋から始まり、導入館も現れている。ざっとググったかぎり、都道府県立では京都府愛媛県鹿児島県が導入済みの模様。各館のシステム更新に伴い、(需要の有無にかかわらず)採用館が増えてくるものと思われる。

横断検索については、都道府県立でカーリル Unitrad API(以下Unitrad API)を採用したとこが増えてきた。京都府に続き、山口県鹿児島県が採用。その他、長野県でも、既存の横断検索とは別に試験導入している。こちらもシステム更新が進むに連れて、採用館が増えてくるものと思われる。また、都道府県レベル以外でも、「さばサーチ」鯖江市など)、「まるはち横断検索」名古屋市内の公立・大学・専門図書館)とかの、生活圏内の図書館を横断検索するサイトは面白い取り組みで、確かに需要ありそう。

なお、Unitrad APIが高速なのは散々言われてることなので、検索結果がパーマリンクになること、URLの引数の書式がシンプルなこと(”/?q=xxxx”でOK)は特筆しておきたい。あと、Unitrad API採用の横断検索サイトは見た目が良い(大事)。フォームもチェックボックスも控えめだし、アイキャッチもかわいいもの、シックなものが多い。さばサーチのアライグマと、恩納村ぞうさんがいい感じ。一方で、Unitrad APIは主にISBNで同定する仕組みのため、ISBNのない資料の書誌割れの対応が課題。対応策となる「L-Crowd「都道府県総合目録の将来像に関する研究プロジェクト」」の成果が待ち遠しいところ。

なお、システム更新の円滑化を目的に協議していたJLAの図書館システムのデータ移行問題検討会は、今年3月まで延長して存続することとなった模様。一筋縄ではいかない問題だけに、じっくりと成果を練り上げて欲しい。

ウェブサービス関係

書誌と書影が使えるということで話題になったOpenBD、いまのところシステムに組み込んでるのは野田市立図書館の新着図書RSSくらいか。Googleブックスの書影を使ったOPACもそう珍しくなくなったことだし、ベンダーさんに採用の動きはないのかな。

(2018年2月21日追記訂正:野田市立図書館の蔵書検索でもOpenBD(とGoogleブックス)の書影を使用中とのこと。コメントありがとうございました。)

国立国会図書館では、NDL-OPACの後継、国立国会図書館オンラインがつい先日、供用開始した。今のところ、かなりレスポンスが重たいのが難点だが、とても見やすくなって好感持てる。とくに、デジタル化資料に目立つアイコンがついて見分けやすくなった。また、リサーチ・ナビでしか検索できなかった「目次データベース」(大量の参考資料の目次が登録されていてむっちゃ便利)も統合されるとのことだったが、いまいち効果が見えない。まだインデックスされてないのかも。

電子書籍サービスも相変わらずか。『電子図書館・電子書籍貸出サービス 調査報告 2017』によると、公共図書館での導入館は65館。2016年版では53館(注:リンク先PDF)だったので、10館強の増加、まだまだ少ない。いわゆる障害者差別解消法対応を謳って普及を目指す、という話もあったけど、障害者にとって使いやすいサービスではまだない、との話も聞く。昨年、某社のデモ版の試用をさせてもらったことがあるけれど、使い勝手云々以前に、入ってるコンテンツの少なさにゲンナリした記憶が。デモ版なんだから、むしろこんなに入ってます、使えます、ってのを見せないといけないんじゃないのかな、とよそのことながら心配になった。とはいえ、世間様の電子書籍への移行は進んでるらしいので、どこかで導入に踏み切らないといけない訳で、隔靴掻痒。

なお、「横浜市立図書館ウェブサイトにおける広報効果の現状報告 : ウェブ解析ソフトによるアクセス分析」という文献が、「現代の図書館」に載っていた。何の事はないGoogleアナリティクスを使ったアクセス分析の論文なのだけど、図書館で同様の文献はとても少ない気がする。Googleアナリティクスを導入している図書館サイトは結構あるはずなのだが、ちゃんと使ってるところはどのくらいあるんだろう。

デジタルアーカイブ関係

デジタルアーカイブも随分増えてきた。思うに、最近のトレンドは、使い勝手のよさ。最近、リニューアル公開された青森県立図書館デジタルアーカイブがよく表しているんだけど、システム的な使い勝手は言わずもがな、コンテンツの利用条件がすごく整っていて、パブリックドメインは自由利用可、そうでないものも条件を満たせば利用可、余計な申請手続きは不要。これが当たり前になって欲しい。総務省の 「デジタルアーカイブの構築・共有・活用ガイドライン」(注:リンク先PDF)でも、「公的機関の、又は公的助成により作成されたデジタルコンテンツについては、無償での再利用に問題のないものについては、原則として、CC0又は(政府標準利用規約と互換性のある)CC BYを適用することが求められる」とあるのだから。これができて初めて、ジャパンサーチ構想やIIIFみたいなものが生きてくる。 

最後に

LRGの19号に載った「特集 カーリルがハックする「図書館システムの現在」」には考えさせられることが多かった。図書館員の常識は、一般の非常識。『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』でも読むべきか。(と思ってNDLサーチ引いたら、あんまり持ってる都道府県立ないんでやんの(泣))

日常的にウェブやスマホ、PCに接している我々図書館員なのに、いまだに「システムに強い人」は希少種な状況は変わらない模様。少しでも改善するために、何ができるのか、考えていきたいと思う今日コノゴロ。

 

都道府県図書館が構築したデジタルアーカイブの利用条件に係る一所感~PD作品の画像は誰のものか~

2017年5月4日付けの朝日新聞に、「日本の美術館は、所蔵するパブリックドメイン作品の画像の貸出しに慎重」という主旨の記事が載っていた(要ログインだし、どうせ消えるのでリンクしない)。調査した公立美術館のほとんどで、パブリックドメインになっている作品にもかかわらず、その画像の利用が申請制になっていて、自由に使えない、とのこと。早速、図書館の状況についても調べてみた(GWで暇だったので)。

もちろん網羅的に調べるわけにもいかないから、都道府県立図書館のウェブサイトで公開されているデジタルアーカイブについて、収録されたコンテンツの二次利用、すなわち、出版物への掲載、放送等の可否と手続きを調査対象とした。

都道府県立図書館のウェブサイトトップからリンクされている(WEB公開されている)デジタルアーカイブを対象とし、館内公開のみのものは除いた。また、HTMLに画像を張り付けただけのものでも、コンテンツ全体が利用できる場合は対象とした。なお、自館作成のコンテンツ(館報や要覧の類)のみを公開しているものは対象としなかった。

結果は以下のとおり(2017年5月4日調査)*1

  • 条件を満たせば申請不要:5自治体
  • 申請が必要:23自治体
  • 問い合わせが必要:6自治体
  • 不明:7自治体
  • デジタルアーカイブなし:6自治体

結果をまとめたものはこちら

47自治体のうち、デジタルアーカイブが見当たらなかったのは6自治体。残り41自治体は何らかの形でデジタルアーカイブを公開していた。ざっと見る限り、ほとんどのデジタルアーカイブの主要なコンテンツは、古典籍などのパブリックドメイン作品と思われた。

にもかかわらず、公開自治体のうち、条件を満たせば手続不要としているのは、たったの5自治体(宮城県秋田県山形県、神奈川県、高知県)。大多数となる23自治体が、営利非営利を問わず「要申請」扱い。条件を全く示さず、ただ「問い合わせてね」としてるところも6自治体。美術館と似たり寄ったり。もちろん、まだ著作権が残っているコンテンツが収録されている場合もあるので一概には言えないが、図書館も、全体として、パブリックドメイン作品の画像等を使わせることに「慎重」のようだ。

おまけに、利用条件を明示してないとこが7つもあるんだけど、どうなんだろう。また、サムネイルやメタデータの利用について明示しているとこは、1つも見つけられなかった。これもどうか。

たぶん、中の人たちとしては、できる限り積極的に利用してもらいたいと思っているに違いない(と思いたい)。それでも、利用を申請制にしたり、問い合わせを求めるのは「不適切な」利用(郷土の偉人の画像が、飲み屋の看板に使われるとか)を避けたいとか、利用実態を把握したい、ということなのだろう。まあ、利用実態の把握をいうのならば、どの程度利用申請があるのかについては、公表して欲しい(レファレンスにも役立つし)。例えば、大阪府中之島図書館のように。

www.library.pref.osaka.jp

それから、制限する根拠もよくわからない。法にはとんと疎いのでナンだけど、著作権が消滅し、パブリックドメインとなった作品(のみ)を収録した資料については、資料(有体物)をコントロールする権利(所有権)は所蔵する図書館が持っているとしても、その画像、すなわち無体物をコントロールする権利はなくなっている、とみなされるのではないかと思うんだけど、どうなんだろ、教えてエライ人。

ちなみに、申請不要としている館の多くは、クリエイティブコモンズを(全てのコンテンツではないにせよ)採用している(宮城県秋田県、神奈川県、高知県の4自治体)。また、大阪府はちょっと特殊で、基本、申請が必要としてるけど、オープンデータの一環としてごく一部の資料のみCC BYで提供している(この調査では要申請とみなした)。また、コンテンツの有償での二次利用をうたった「おおさかアーカイブス」なんてのもある。これはこれで、いろいろ大変そう。

国の報告書「知のデジタルアーカイブ―社会の知識インフラの拡充に向けて―」なんかを眺めるに、デジタルアーカイブは、自分とこで作っておしまい、ではなく、連携も含め、どのように使ってもらうか、を考える時期に来ているように思われる。そのために、アーカイブされたコンテンツについて、何を、どこまで、どう使えるのかを明示する必要があるように思われる。今後の課題、ということにしておく。

 

*1:カウントは自治体単位で行い、利用条件の異なる複数のデジタルアーカイブを公開している自治体については、便宜上、利用条件がより緩いものとしてカウントした(例:1つは申請不要、1つは条件不明の、2つのデジタルアーカイブを公開している自治体については、「申請不要」としてカウント)。

都道府県図書館が構築したデジタルアーカイブ及びその利用条件一覧(2017年5月4日現在)

このページは、都道府県図書館が構築したデジタルアーカイブと、その利用条件についてまとめたものです。調査時点は2017年5月4日現在です。

都道府県立図書館のウェブサイトトップからリンクされている(WEB公開されている)デジタルアーカイブを対象とし、館内公開のみのものは除きました。また、HTMLに画像を張り付けただけのものでも、コンテンツ全体が利用できる場合は対象とし、自館作成のコンテンツ(館報や要覧の類)のみを公開しているものは対象としていません。

それぞれ、都道府県名、デジタルアーカイブ名、その利用案内のページへのリンク(リンクがあるもののみ)、利用案内に記載されたコンテンツの二次利用(出版物等への掲載許可等)に関する記述をまとめています。

調査には慎重を期しましたが、誤りがありましたら申し訳ありません。なお、この調査をもとに、こちらのエントリーを書きました。

北海道

北方資料デジタル・ライブラリー
北方資料デジタル・ライブラリーの利用案内ページ
掲載等については申請必要

青森県

デジタルアーカイブ
デジタルアーカイブの利用案内ページ
掲載等については問い合わせ必要

岩手県

イーハトーブ岩手電子図書館
イーハトーブ岩手電子図書館の利用案内ページ
掲載等については申請必要
デジタルライブラリーいわて
不明

宮城県

宮城県図書館古典籍類所蔵資料
利用についてはトップページ下部に記載あり。
WEB利用は自由、出所の明示、改変不可
東日本大震災アーカイブ宮城については、収録コンテンツの多くが著作権保護期間中と思われるため、調査対象としない。

秋田県

秋田県立図書館オープンライブラリ
各コンテツのビューアにCC BY表示
デジタルアーカイブ
不明

山形県

デジタルライブラリー
デジタルライブラリーの利用案内ページ
和装本PDFについては自由利用、引用・掲載の際は館名表示、その他(写真等)については不明

福島県

デジタルライブラリー
不明

茨城県

茨城県立図書館デジタルライブラリー
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については申請必要

栃木県

栃木県立図書館デジタルコレクション
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については申請必要

群馬県

デジタルライブラリー
デジタルライブラリーの利用案内ページ
掲載等については申請必要

埼玉県

埼玉県立図書館 デジタルライブラリー
利用についてはトップページ下部に記載あり。
掲載等については申請必要

千葉県

千葉県デジタルアーカイブ
不明

東京都

東京都立図書館デジタルアーカイブ
東京都立図書館デジタルアーカイブの利用案内ページ
掲載等については申請必要
江戸・東京デジタルミュージアム
江戸・東京デジタルミュージアムの利用案内
掲載等については問い合わせ必要

神奈川県

神奈川デジタルアーカイブ
神奈川デジタルアーカイブの利用案内ページ
掲載等については申請必要
神奈川県行政資料アーカイブ
神奈川県行政資料アーカイブの利用案内(PDF直リンク)
自由、一部CCで制限あり
神奈川県郷土資料アーカイブ
神奈川県郷土資料アーカイブの利用案内ページ
条件を満たせば申請不要

新潟県

越後佐渡デジタルライブラリー
越後佐渡デジタルライブラリーの利用案内ページ
掲載等については申請必要

富山県

古絵図・貴重書ギャラリー
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については申請必要

石川県

石川県立図書館 大型絵図・石川県史
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については問い合わせ必要
貴重資料ギャラリー
不明

福井県

福井県文書館・図書館デジタルアーカイブ
利用についてはビューア下部に掲載あり。
掲載等については申請必要

山梨県

山梨デジタルアーカイブ
山梨デジタルアーカイブの利用案内ページ
掲載等については申請必要

長野県

信州デジくら
信州デジくらの利用案内ページ
掲載等については申請必要

岐阜県

デジタルコレクション
不明

静岡県

ふじのくにアーカイブ
ふじのくにアーカイブの利用案内ページ
掲載等については申請必要

愛知県

絵図の世界
絵図の世界の利用案内ページ
掲載等については問い合わせ必要
絵はがきコレクション
不明
貴重和本デジタルライブラリー
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については問い合わせ必要

三重県

デジタルライブラリー
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については問い合わせ必要

滋賀県

近江デジタル歴史街道
近江デジタル歴史街道の利用案内ページ
掲載等については申請必要

京都府

デジタルアーカイブなし?

大阪府

おおさかeコレクション
おおさかeコレクションの利用案内ページ
掲載等については申請必要、一部CC適用資料あり

兵庫県

デジタルアーカイブなし?

奈良県

まほろばデジタルライブラリー
不明

和歌山県

デジタルアーカイブなし?

鳥取県

鳥取県立図書館所蔵絵図
不明

島根県

しまねデジタル百科
不明

岡山県

デジタル岡山大百科
デジタル岡山大百科の利用案内ページ
掲載等については申請必要

広島県

貴重資料コレクション
貴重資料コレクションの利用案内ページ
掲載等については問い合わせ必要

山口県

WEB版明治維新資料室
WEB版明治維新資料室 の利用案内ページ
掲載等については申請必要

徳島県

デジタルライブラリ
不明

香川県

デジタルライブラリ
デジタルライブラリの利用案内ページ
掲載等については申請必要

愛媛県

愛媛県立図書館デジタルアーカイブ
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については申請必要

高知県

デジタル化資料公開ページ試行版
ビューアにCC BY NC表示

福岡県

デジタルライブラリ
デジタルライブラリの利用案内ページ
掲載等については申請必要

佐賀県

佐賀県立図書館データベース
佐賀県立図書館データベースの利用案内ページ
掲載等については申請必要

長崎県

デジタルアーカイブなし?

熊本県

デジタルアーカイブなし?

大分県

デジタルアーカイブなし?

宮崎県

デジタルアーカイブ
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については問い合わせ必要

鹿児島県

デジタルアーカイブ
利用についてはトップページに記載あり。
掲載等については申請必要

沖縄県

貴重資料デジタル書庫
貴重資料デジタル書庫の利用案内ページ
掲載等については申請必要

久しぶりの異動

この春から、利用者サービスの部署に異動になった。他所にお出かけしてた2年間を加えると、実に8年ぶり。浦島太郎とはこのこと。

いろんな仕事を残してきて、後任者には恨まれそう。頼りにしてた先輩や同僚が、3月末で少なからずいなくなってしまったのも辛い。が、まあ、ボチボチと。

ともあれ、慣れてしまわないうちに、自戒のための覚書。

  1. カウンターや事務室に篭もらない。フロアに出て仕事をする。
  2. 館内に篭もらない。館外で仕事をする。
  3. レファレンスに婬しない。
  4. 記録を取る。記録を活かす。
  5. 自分と周りが楽になる仕組みを作る。

1と3は、10日と経たないうちにすでに怪しい。やれやれ、桑原桑原。

L-Crowd「都道府県総合目録の将来像に関する研究プロジェクト」が楽しい。

先日からスタートしてCA入り*1もした、L-Crowd「都道府県総合目録の将来像に関する研究プロジェクト」が楽しい。

要は、機械的に同定できない書誌を、人海戦術で同定しちまえ、って取組み。機械的に同定できないっていっても、そんなに難しいことをするわけでもない。

ちょっとしたクイズみたいなもので、こんな感じ*2で書誌が2つ提示されて……

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上下の書誌が同じと判断したら「同じもの」ボタンを押す。同じものじゃないと思ったら「違うもの、あるいは…」ボタンを押す。ボタンを押すだけの簡単なお仕事。

たまに迷う「問題」も出るけど、NDLサーチで引いてみるとたいてい見当がつく(ブラウザのコンテキストサーチにNDLサーチが入ってれば楽ちん)。どうしても判断がつかなければスキップできる上、多くの人が同じ「問題」をやっているらしく、少々間違っても多数決で自動修正されるみたいだから、ホント気楽に。

匿名でもできる。でも、SNSアカウントでログインすると、答えた回数によって順位が出るようになる。楽しい。「あと〇〇回で順位が上がります。」とか出て、病みつきになる。まだそんなにたくさんの人が参加してない(これを書いている時点で40人くらい)ので、ちょっとやったらすぐ順位も上がるし。

出てくる「問題」は、明らかに「違うもの」が多い。ただ、ときに微妙なのや愉快なのが出るので、これまた楽しい。

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うーん、カオス。

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上は音訳資料みたい。

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これはわからん、王さまシリーズの絵が和田さんっていつまでだっけ、とか、妙に勘ぐったり。

楽しいので、皆さんもぜひご参加ください。

 

 

 

 

マイナンバーカードの図書館利用にかかる対策について(私案)

総務省から2016年秋に発表された、マイナンバーカードの図書館利用は、複数の図書館の利用カードをマイナンバーカード1枚にまとめることができる、という、極めて利便性に富む画期的な取組である。

様々なクレジットカード、ポイントカード等の乱立により、国民の財布は日々厚くなる一方であり、対応に苦慮しているところである。マイナンバーカードが図書館利用カードの代わりになることで、その分だけ財布の厚みが軽減され、財布及びポケット、カバン類の耐久性が著しく向上するなど、経済的にも大きな効果が期待されるところである。

しかしながら、画期的な取組にはつきものではあるが、導入にかかるコスト等が不明といった瑣末な問題から、今夏にも予定されているという導入にあたって、不安や疑義をもつ図書館も多いと漏れ聞く。

そこて、ここでは、マイナンバーカードの図書館利用を円滑に導入するための方策について、2つの私案を提示したい。なお、マイナンバーカードの図書館利用については、まだ未確定の事項も多い。あくまで、現時点で提案者が理解している情報に基づいて検討したものであることを申し添える。

1 図書館利用カードの共通化の前倒し推進

マイナンバーカードの図書館利用のメリットは、複数の図書館利用カードを1枚にまとめることができる、ということに尽きる。複数のカードをまとめたい、との欲求は万人のものであり、例えば、カルチュア・コンビニエンス・クラブ社のTポイントカードは、そのような発想*1のもとにつくられ、広範な支持を得て普及していることは論をまたない。図書館の世界では、今までこうした潜在ニーズが積極的に汲み取られることはなかったため、図書館職員にもお客様にも、カードをまとめることの利便性が必ずしも浸透していない。

そこで、マイナンバーカードの図書館利用に先立ち、現行図書館利用カードの共通化を前倒しで推進することを提案したい。図書館職員、お客様ともに、カードをまとめることのメリットを体感すれば、マイナンバーカードの図書館への導入も円滑に行われるのではないかと考えるものである。

具体的には、都道府県立図書館が、域内の市町村の図書館利用カードでも利用できる仕組みを構築するのが効率的と考える。通常、図書館利用カードの番号体系は館により異なることが多く、番号の重複なども容易に想定される。市町村同士の共通化と比べれば、都道府県立と域内市町村立との共通化の方が、組み合わせも減って対応が容易と考えられる上、ニーズや現状にも合致するものと思われる。

課題として、番号体系の差異の克服が挙げられる。運用にあたって、例えば、システム的に、利用者のIDとカード番号を分けて管理するなどの工夫が必要である。また、システム的に対応が困難な場合は、市町村立図書館の図書館利用カードのスペース(裏面等)に、都道府県立図書館の利用カード番号をバーコード化して貼付する(バーコード印刷可能なテプラ等を活用することが想定される。)ことも考えられる。

なお、可能なかぎり、生活圏を一にする市町村については、同様に、カードの共通化を積極的に行うべきであることは言を俟たない。

2 お客様アンケートの活用

公共施設である公立図書館において、新規の取組に一番影響を与えるのは、納税者であるお客様の声であろう。マイナンバーカードの図書館利用について、導入前に、お客様の期待の声を集めることは、導入に向けた大きな原動力となり、仮に不慮のコストが発生した際にも予算獲得に寄与するはずである。すなわち、アンケートの実施により、お客様の賛意を見える化するのである。

当然ながら、アンケートにあたっては、導入にかかるお客様の不安や疑義を払しょくするため、取組にかかる特徴、課題等を丁寧に周知する必要があろう。すなわち、

  • 貸出記録等がマイナンバーカードに保存されるものでないこと(安心)
  • マイナンバーカードにマイキーIDをお客様自身で登録する必要があること(他人の手を介さないセキュリティの高さ)
  • 利用したい図書館の図書館利用登録は行う必要があること(やむなし)
  • 図書館利用カードの番号を活用したサービス(ウェブサービスや自動貸出機、席予約等)については、マイナンバーカードで代用することができないこと(カウンターで本が借りられれば十分)

などなど、丁寧にご説明したうえで、マイナンバーカードの図書館利用の導入の必要性について、アンケートを実施し、マイナンバーカードを図書館利用カードとして使いたい、というお客様の声を集めるのである。

なお、できるかぎり、1で示したカードの共通化が実現した段階で行うことが望ましい。実際にカードをまとめることの利便性を体感したお客様からは、マイナンバーカードの図書館利用について、熱烈な賛意が寄せられることは容易に想像できるであろう。

最後に

ここに示した案はあくまで私案であり、おそらくもっと効果的な方法があるものと思われる。繰り返しになるが、マイナンバーカードの図書館利用は、増え続けるカードをまとめたい、という国民の切実な要望に応えるものであり、その利便性の向上に大きく寄与する画期的な取組である。図書館界は、このような潜在的かつ強い要望に今まで応えることができなかったことについて、大いに恥ずべきであるが、まだ遅くはない。ぜひ、各図書館が知恵を絞り、取組の導入推進に向け、邁進すべきである。

参考文献:JLA図書館の自由通信:マイナンバーカードの図書館利用について

 

*1:Tポイントの発想については、例えば、こちらで語られている。