BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

図書館と『泣いた赤鬼』

少し前に、上司に言われた言葉がずっと胸に残っているので、勝手にご紹介(関係者の方々ごめんなさい)。いわく、「図書館って、『泣いた赤鬼』の赤鬼だよね」。
赤鬼こと某図書館は、たくさんの人に利用してほしいと思った。例えば、ビジネスパーソンや起業家、中小企業経営者、自営業の方々などと仲良くなりたいと考えた。そこで、関係資料を集めてコーナーを作り、外部データベースを入れ、広報活動も行なった。「図書館はビジネスのお役に立つところです。どなたでもおいでください。無料で便利な情報源がございます。レファレンスもございます」。
でも、思ったように利用には結びつかない。某図書館は悲しみ、悔しがり、腹を立てて、せっかく立ち上げたサービスの看板を下ろしてしまった……。
赤鬼は、仲良くなりたいと思った村人たちに自分がどう見えているか、全く考えていなかった。準備を整え、看板で(消極的な)呼びかけをし、ただ待っていただけ。なぜだれも来てくれないのか、村人の立場になってその理由を考えることをしなかったし、自分から村人たちの中に飛び込むこともしなかった。赤鬼が村人と仲良くなれたのは、青鬼の、どこまでも冷静な判断と自己犠牲の結果に過ぎない。
図書館には、青鬼はいない。いたとしても、そのような犠牲を強いることなどできない。赤鬼自ら、変わるしかないのだ。