BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

インテリアとしての電子図書

ゴールデンウィーク中はどこにも行かずに、散らかった家の中の整理に明け暮れた。
特に、しばらく前から何の脈絡もなくただ突っ込んであった(!)書棚の本をようやく整理することができた。ま、整理できたのはごく一部で、屋根裏にマンガだの雑誌だの文庫本だのが未だ野積み状態になっているのだけど……。
整理したのは客間(ということになっている部屋)の本棚なので、実用性よりは見た目重視。料理や園芸なんかの生活臭のする本は他所に移動して、ハードカバーの文芸書とか、単行本を並べる。最近、家計が厳しくて高いの買わないから、並んだ本はみんなちょっと古め。バリエーションもイマイチで文脈も何もあったもんじゃないけど、仕方がない。そういえば以前、ブックディレクターの幅允孝さんがどこかで(朝日だったかな?)「背の高い本を端に、低い本を中央にすると見栄えがいい」って言ってたな、などと思いながら、シンメトリックに並べ、中央に1冊だけ面置き。ブックディレクターにはなれそうもないセンスだけど、まあよし。
でも、なんだかんだいって、本を並べるのは楽しい。ジャンル別とか、作者つながりなどの本の中身だけでなく、サイズや表紙の色、質感など、モノとしての本のあれこれも考えながら、「自分の棚」を作っていく。最近は、ウェブ本棚なんてのもあるけど、現物を並べるのとは異質のものだと思う。例えば、同じ作品でも、文庫とハードカバーではサイズも装丁も別物だけど、Amazonやウェブ本棚の書影だと、基本ほぼ同じサイズ(縦横の比率はちがうかも知れないけれど。それに、新書が単行本より大きく見えたりする)で、表紙の質感も大して差がないように見える。並べた時の感じが現物とはまるで違う。ほぼ均質な大きさの本が並んだ棚は、ただのカタログみたいで面白味がない気がする。
近い将来、電子図書が当たり前になって紙の本がなくなったら、本棚はどうなるのだろう。部屋の中に置かれた本や本棚は、「自分らしさ」を表現するインテリアとしての意味合いが強い。そう簡単になくなりはしないと思うけれど、一方で、デジタルフォトフレームならぬデジタル本棚なんてのができるのかもしれない。そうすると、棚代わりのスクリーンに映し出されるのは、大きさや質感の差異もきちんと表現された3Dの本の背表紙画像。いや、それだけじゃなくて、書影や、本の中の挿絵、写真、あるいは本の中の名文句なんかのスライドショーだったりするんだろうか。
なんにせよ、モノでなくなった本にはあまり愛着が持てないような気がする。少なくとも、積読の高さがえらいことになることだけは、間違いないかな……。