BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

「高度」なレファレンスとは何か?

たぶんネットが浸透してきたことが大きいんだと思うけど、レファレンス・サービスはいろいろな意味で変容を迫られている。
当方の職場でも、レファレンス・サービスをより「高度化」させないといけない、みたいなことがよく言われる。なるほど。で、「高度」なレファレンスって何?

  • 調査に時間と手間が必要なレファレンス?
  • 質問者に代わって、原典に一つ一つあたり、ページをめくって悉皆調査するレファレンス(原典に当たるのは確かに大事だけど)?
  • 郷土史をはじめとする専門的な主題知識が必要なレファレンス?

正直、どれも当方の苦手なものばかり。だからかどうかは知らないけれど、本当に今求められているものとはちょっと違う気がする。
例えば、こんなのはどうなんだろう。

  • カウンセリング的なインタビューにより、お客様の本当に必要なものを引き出したり、普段図書館を使わない方の潜在的な要求を統計などからくみ取って新たな事業につなげたりしている。
  • 職員のレファレンスのためのものではない、お客様に使ってもらうためのレファレンスコレクション形成とツール作成が行なわれている。
  • 見つけ出した回答をただ提示するだけじゃなくて、次からは自分で探せるように探し方と合わせて伝えたり、あるいは既存の回答を他の調べ物にも役立つように加工したりしている。

などなど。
司書自身の資料や情報源に対する知識・スキルが低くてはお話しにならないけれど、じゃあ、司書が探し出せたらそれでいいの?みんな困ったら図書館に、司書に聞いてくるわけ?
自分の問題は自分で解決する、それが自己責任型社会ならば、それに対応する司書の使命とは、回答を与えることではなく、人々が回答を自ら探し出せるように、環境を整え、時には教育を施していくことなんじゃないかと思う。
司書は、誰かを支援することはできる。でも、「あなたの問題を解決できるのは、あなただけ」なのを忘れてはならないと思う。