BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

次世代OPACがやってきた。

たまたまカレントアウェアネス・ポータルを開いたら、慶應義塾大学メディアセンターの新図書館システム「KOSMOS」の記事が。おお、去年の図書館総合展でお話のあったあれですな。早速のぞいてみる。
シンプルなインターフェイス、ファセットによる絞り込み、MyLibrary、書影表示、多言語対応、ソーシャルタギングなど、先進的で面白そうな機能がてんこ盛り。塾生いいなあ。
ちょこっとさわってみて、特に面白いと思ったのは、検索結果が0だったときの表示。「探している資料が見つかりませんか?」というメッセージとともに、キーワード変更や詳細検索を薦めたり、綴り間違いの可能性や検索できない資料の存在を知らせたり、果ては連携大学のOPACやGoogleへのリンクまで自動生成してくれる。
あと、タグも面白い。入力されてるタグはまだまだ少ないようだけれど「目次が見られる」「よく使われる学術雑誌」など、ソーシャルタギングならではのものが入力されていて、いろんな可能性を感じさせる。
いいなあ、すごいなあ、と思う反面、仮にこういうのを公共図書館で導入したときに、どこまで有効なのか(有効にできるか)と思うと、ちょっと考えさせられる。
ガタガタな書誌に統制とれてない件名、お客様の母数の少なさ、レコメンドやソーシャルタギングといった集合知的なものへの不信感などなど、不安要素は多い。高機能な次世代OPACは、大学という、比較的知的レベルの高い閉じたコミュニティだからこそ望まれ、実現可能なものといえるのかもしれない。いやほんと、日頃読む本を探すレベルなら、カーリルで十分だったり(読みたいリストがとっても便利)。
でも、「KOSMOS」でいうと、「探している資料が見つかりませんか?」表示とか、OPAC画面の右上に常時、オンラインレファレンスへのリンクが張ってあるとかの、お客さんを立ち止まらせないちょっとした工夫が本当は一番大事なのかも。ここは現場の司書の知恵と経験が生きてくるところだ。
それにしても、図書館システムとかOPACの開発には、例えばペルソナ法みたいな、利用者視点の考え方って、適用されてるのかしらん。