BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

図書館は「人」が大事!『図書館はコミュニティ創出の「場」』

図書館はコミュニティ創出の「場」 会員制ライブラリーの挑戦 (ネットワーク時代の図書館情報学)

図書館はコミュニティ創出の「場」 会員制ライブラリーの挑戦 (ネットワーク時代の図書館情報学)


会員制有料図書館「六本木ライブラリー」の創成物語であり、今後の図書館サービスのヒントが詰まった本。
無料で誰にでも開かれた図書館が、無料であるが故の制約により、魅力のない、使いにくいものになってしまっているのではないか。本が規則的に並べられ、貸出もレファレンスもしてくれる図書館が、逆に意外な本との出会い、そしてそこに集う人との出会いを阻害してしまっているのではないか……。
常識に縛られず、ゼロベースで考えた著者なりの理想の図書館が、試行錯誤を経つつ創り上げられていくさまはそれだけで面白く、その主張も読んでいて頷かされるところが多い。
もちろん、この本のオイシイところをただ真似をしても全く意味はない。この本の章題の一つ、「図書館は何のために存在するのか」(152p)を、それぞれがもう一度考える必要があるだろう。この問いに、自分なりの答えを出す準備がまだできていないけれど、いつも頭の隅に置いとかないと。
それにしても、この六本木ライブラリーは、「情報源として“本”よりも、より多くの情報を持つ“人間”を重視」(14p)し、人のつながりの場を創りだすことを使命として掲げている。おそらく、今後の図書館は、「人」の組織化やマネジメントの要素(例えば、図書館ボランティアとか、ソーシャルタギングとか)を避けては通れないのだろう。こういう分野の知識もスキルも経験も当方には足りないから、心もとないなあ……。