BEAYS(新装版)

本と図書館のことについて、つらつら書いてゆくblogです。

図書館システムデモ雑感(その3)

承前。

大手ベンダーさんのデモをいくつか見させていただいて、共通してるのは以下のとおり。

  1. そのシステムでできることを、ほとんど全部見せようとする
  2. 機能の説明だけして、その機能の採用や稼働の実績をいわない
  3. 予定時間どおりに終わらない

1.について、受入や選書、貸出等の基本的な機能を、実際にやって見せてくれるんだけど、どのシステムもほとんど変わり映えしない。いや、もちろん細かな手触りは差があるんだろうけど、実際に並行して運用でもしない限り、違いはわからないだろう。

基本的な機能はざっと流して、「ウチはここがウリ」ってのをコンパクトに伝えてほしい。正直、一番知りたいのはレスポンスなんだけど、SaaSかオンプレミスかとか、環境によって変わるところが大きいので、デモじゃわからないし。

2.については、どこそこの館で導入されてる、という話は時々出るんだけど、そこでどのくらいのお客様が実際に使っているのか、という話は全然出ない。聞いても「わからない、導入館に聞いてほしい」とおっしゃる。使われていないかもしれない機能を、便利ですよ、と勧めるのはどうか。特にWebOPAC周りの機能は、仮にもウェブサービスなんだから、どれだけ使われてるのか示すのは最低限必要じゃないのかなあ。

3.については、こっちも不規則に質問するし、仕方ない面もある。とはいえ、2時間以上、下手したら午後いっぱいとか拘束されるのはキツい。説明する方もさぞかしキツいんじゃないかと邪推する。異業種のプレゼンとかもこんなものなんだろうか。実際は、デモを見せてもらえるだけでも恵まれてる方なのかもしれないが、散々デモを見せてもらった挙句、お安いところに、というのはいろいろ悲しい。

結局、ベンダさんは、ウチが欲しいものをよくわかってないのかな、と思う。いや、わかってないのは、ウチなのだろう。「こういう機能が欲しい」「新しい図書館システムで、こういうサービスがしたい」という漠然としたビジョンすらないまま、デモを見てても仕方ない。

今、図書館システムで何ができるんだろう。あたしらは何がしたいんだろう。

図書館システムデモ雑感(その2)

承前

ベンダーさんの図書館システムデモの時には、必ず次の3点は質問するように心がけている。

  1. WebOPACはアクセシビリティのJIS規格を満たしてるか
  2. WebAPIに対応しているか(OAI-PMH、SRU/SRW等)
  3. スマートフォンタブレット用のWebOPACはあるか

どれも、今後の図書館システムに必須だと考えている。

つか、1は図書館に限らず、公のWebサイトには必須(のはず)だ(よね、ね……)。障害者差別解消法の流れもあるし。特に、フォームがやたらめったらあるWebOPACはシステム依存だから、あとから直そうと思っても絶対無理なので、これは譲れない。

2も、国会図書館ほかとの連携や、オープンデータの流れを考えれば、つけといて損はない。まあ、MARCの著作権だの、「金払って外部に使わせるのはどうか」みたいな内向きのご意見だの、いろいろ問題もあるけど。ついでに値も張るらしいけど。でも、調査相談が看板の広域図書館はもちろんのこと、小さな図書館ほど他館の蔵書に頼ることが多くなるんだし、WebAPI連携は今後ますます大事になると思う。

3は言わずもがな。PCやケータイからのアクセスは、なくなることはないだろうけど、もはや主流ではない。特に、フォームがやたらめったらある(強調)WebOPACを小さな画面で表示させるのは、使うなと言ってるに等しい。

最近は、「大丈夫ですよ」とおっしゃるベンダーさんが多くなってきていて、ちょっと嬉しい。でも、残念ながらたいてい標準ではなくオプション扱い。業界全体で標準装備にしてもらうため、デモごとに、とにかく1~3を言い続けるようにしている。

あと、オプションといえば、どの業者さんからも、このシステムは読書推進を図る機能として「○○機能(本棚機能、リスト作成機能、SDI機能などなど)」があります(キリッ)、みたいなことをたいてい言われるんだけど、これもオプションだったりする。それに、「この○○機能、導入事例ありますよね、利用者さんがどの程度使われてるか、データあります?」と聞くと、たいてい「データはない、導入館に聞いてみないとわからない」との答えが。それって、要はあんまし使われてないってことじゃないの?、といつも思う。そんなにいい機能でバリバリ使われてるのなら、オプションじゃなくて標準にして、こんなに使われてます、ってちゃんと言えばいいのに。

1~3を、いちいち聞かなくてもいい時代が来るといいなあ。

ネタがあればまだ続けるかも続きます)。

図書館システムデモ雑感

数年ぶりに、図書館システムのデモを見せてもらった。業界最大手の某社さん。利用者用OPACの機能充実がウリとのこと。

確かに多機能。

書誌情報全文検索、書影表示、ファセットブラウジング、キーワードサジェスト、レビュー、タギング、本棚機能、御丁寧に読書履歴保持機能まである(某団体の逆鱗に触れそう)。数年前に話題になった、いわゆるOPAC2.0的機能(うわ―、ホントに死語だな)は一通りそろっている。

ただし、コレジャナイ感も正直、漂う。NDLサーチのように、多種多様な情報をまとめて検索しておいて細かく見ていくならいざ知らず、一般的な公立図書館で、蔵書のデータをわざわざファセットで絞り込んでいく意味合いは薄い気がする(件名くらいか)。バックデータに入力履歴をもたないサジェストでは、省力化にはなっても発見はない、むしろ検索漏れを誘発しそう。お客さまにレビューやタギングを活用してもらうには図書館側の継続的な仕掛けが必須だし、管理が大変そうという印象しか受けない。

と、さんざんクサしてるけど、ベンダーさんは十分がんばっていると思う。たいした競争も無く、コスト最優先な業界で、新しい機能を実装していくのは、モチベーション的にも辛い仕事だ。新機能のほとんどがオンオフできるようになっているか、オプション扱いのところからして、結局、「『○○』が読みたい、この図書館にあるかしらん」以上の要求は、多くの図書館、多くのOPACには求められていない(と図書館側が考えている)、ってことなのだろう。

昔々、汎用機からWindowsにシステムが切り替わった際、書誌入力でコピペが使えるというので感動したこともあった(遠い目)。WebcatPlusが初めて登場した時、目次情報による検索ができて、レファレンスの終焉を予感した(一応まだ続いてるけど。おまけに図書館システムじゃないけど)。新しいシステムに出会うたびに、ワクワクしたものだった。

今、どんなシステムが求められているのか、これから何年かのお客様のためにどんな機能が必要なのか、あまりイメージできない。WebAPI連携、デジタルアーカイブ、スマートフォン対応やアクセシビリティ対応と、それなりに大事なことはあるんだけど、なんだかワクワクしない。

単に、あたしが老化してスタティックになったということなんだろうか。

それでもまあ、カーリルは何かやってくれそうな、漠然とした(無責任な)期待だけは持っている。

この項続く、かも

「国立国会図書館デジタルコレクション」以後の零細デジタルアーカイブ構築に向けて

はじめに

タイトルは釣りです。

さて、光交付金からこっち、デジタルアーカイブを提供してる図書館が増えた(気がする)。じゃあ、他館(よそ)でもすなるデジタルアーカイブといふものをウチでもしてみむとてするなり、ってなぐあいで、予算もないのに自前でなんとか構築しようとして、ハタと困る、何をデジタル化すればいいんだ?

旧家伝来の○○文庫みたいな、いかにも貴重で著作権も切れてて、まるっとデジタル化することに価値があるような資料群は持ってない。古い本はいっぱいあるけど、よくよく考えてみれば、同じのが既に「国立国会図書館デジタルコレクション」(図書館送信資料だけで131万点!)にあるんじゃね? つか、ダブりを避けようと思えば、一冊ずつデジコレにあるかどうか調べないといけないんじゃね?  ……orz。←今ココ。

というわけで、デジタルアーカイブ構築計画がちょっと頓挫している今日コノゴロ(一部フィクション)。キラーコンテンツもない、システム(ビューア)もない、ノウハウもないなかで、今後の再構築(そもそも構築してないが)に向けて夢想したことを書いておく。

構想1:再利用ウェルカムとする

ひとまず、著作権処理の必要ない資料をデジタル化するとして、それ専のシステム(ビューア)がないので、公開ファイル形式はPDF一択になるかと思う。当然、保存も改変もやりたい放題。ならば、最初からどうぞ使ってください、とするほうがいい(もともと著作権ないんだし)。秋田県立図書館の例みたいに、デジタル化された地域資料から商品が生まれたりするとなおいい*1。最近では、東寺百合文書WEBクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを採用して話題になってたので、ぜひ先例に習いたい。CCライセンスの勉強しないとなあ。

構想2:著者や権利者にもメリットのあるものにする

できれば、いかにも古い資料だけでなく、気軽に読める最近の資料も入れたい。でも、商業出版されてるものは権利処理が大変。著作者の権利に加えて書店や古書店のことも考えると、なかなか難しい。ならば、非商用の資料を入れるしかない。

たとえば、地域のサークルや同好会が作っている紙ベースの会報や会誌なんかをデジタル化して公開できれば面白いかも。お年寄りが中心の集まりだと、まだまだWebは一般的じゃないから、紙で細々と配ってる会報をWebで全国に発信します、と持ちかけたら喜んでもらえるんじゃないか。デジタル化の許諾もあっさりもらえそう。あそこがデジタル化してくれる、と評判がたてば、図書館としては、地域資料も集めやすくなって一石二鳥。コンテンツが集まれば、そのうちエスプレッソブックマシーンの類を導入して、図書館がパブリッシャーに、なんて妄想(ゆめ)も広がる。

構想3:役に立つ資料を提供する

デジタルアーカイブで提供されるものといえば、とかく貴重資料になりがち。希少性もさることながら、要は、保存と利用の両立、権利処理不要という提供側の論理が働いてる感は否めない。普通の人が読んで楽しい、使える、と思えるような資料はあまりない(国会デジコレには探すと結構あるんだけどね)。

これまたよそ様の例だけど、上田情報ライブラリーが公開している「インターネット版「注連飾りの作り方」」*2なんかいい感じ。しめ飾りのデザインは地域性が強いので、地元ならではの作り方がわかるとすごくありがたいんじゃないかと思う。

ただやみくもにデジタル化するんじゃなくて、より使ってもらえそうな資料を選んで優先的に提供したい。

おわりに

……とまあ、いろいろ考えてはいるものの、デジタル化の仕様や手法、マンパワーの面でも課題が多く、なかなかすぐにはモノになりそうもない。でも今年度中には何とか形にしたい、との決意表明として、ひとまずこれを書きました。

*1: AEBS 電子出版制作・流通協議会:NewsLetter Vol.10-2「公共図書館のデジタル化」より。

*2:上田情報ライブラリーのトップにはリンクがないみたい。もう公式には公開してないのかな?

変わることを楽しむチカラ

もう巳年も終わり、もうすぐ新年なので、一年の総括と来年の抱負を兼ねて、先日(つか、もうふた月も前だ)参加した"図書館海援隊フォーラム2013"で考えたことを一つだけ。

発表事例は、非常に中身が濃かった。病院と連携してがん情報の市民講座を開いたり、商工農部局とタッグを組んで地場産品の振興に一役買ったりといった、いわゆる課題解決支援サービスの先進事例がこれでもかと紹介されていた。そのあまりの(良い意味での)図書館っぽくなさ、司書っぽくなさに、質疑のなかで、「こんなことができる人材を育てるためには、司書課程で何をどのように教えたらよいのか」、というような質問が、司書養成関係の方から出されていた。

その場の結論としては、伝統的な司書課程や図書館関係団体の研修はこういう取り組みには直接役に立たない、それよりも、マーケティングやマネジメントなど、広い意味での経営学的な知識や技能が必要、というところに落ち着いてたように思う。

まったく賛成だけど、自戒を込めて蛇の足をつけ加えるならば(まだ巳年だし)、努力すれば自分は変われるという考え方、変化を恐れず、むしろ変わることを楽しめる心のあり様を身につけ(させ)ることが大事だと思う。『プレイフル・シンキング』という本でいう、変化を楽しめる「プレイフル」な人材が、これからの業界にはもっと必要なのだ。

最新の事例発表を聞いても、優れたワークショップを体験しても、「すごいなあ、でもあたしには(ウチの部署じゃあ)無理だな」と思ってしまったら先へは進めない。あの人と組んだら、ここをこうアレンジしたら、できるかも!、と思えることが何より大事。しかも、これは資質ではなくて、後付けで身につけることができる「思考法」なので、教育やセルフラーニングが関与できる余地が十分ある。

図書館を取り巻く環境は厳しい。いろいろな要素が複雑に絡み合っていて、自分の立ち位置を見出してそれを保つのが難しい今日コノゴロ。遺していくことが大きな仕事のこの業界は、とかく保守的になりやすい。そんななかで、変化を楽しめる力は、強力な武器にもなるし、身を守る盾にもなるのでは、と思う。そもそも、業界の表看板である「生涯学習」って、生涯「変わり続ける」ことだし。

新年を迎えて年が変わると、人も生まれ変わる、と昔の人は考えていたという(典拠忘れた)。せめて新年の時ぐらい、自分は変われる、変わるのは楽しい、めでたいこと、と思えるようになりたいなあ、と思う、文系男子であった。

蛇足の蛇足。司書(課程)の人は『プレイフル・シンキング』と、『人を助けるとはどういうことか』は読んどいたほうがいいと思う。前者は、状況に合わせて楽しく創造的に仕事をするために、後者はお客様目線でサービスやサポートをするために、とても大事な本だと思う。

ぼくのかんがえたさいきょうのOPAC1.3

OPAC2.0なんてものが唱えられたとき、きっとウチの図書館のシステムも進化(バージョンアップ)すれば、そのうちアレになるに違いない、となんとなく夢想してたものだけど、あれから幾星霜、いつまでたっても1.0のまんま。ベンダーさんに聞くと、「今のOPACの進化形というより、全然別モンなので無理ですよハハハ」とか言われる始末(一部実話)。仕方ないので、現行OPAC1.0でも調整次第で何とかできそうなことを3つほど考えたのでチラ裏的に書いとく。

検索結果は「出版年降順(新しい順)」に表示(+0.1)

ほとんどのOPACの検索結果表示は、書名の五十音順になってるようだ。シリーズものや巻数の多い全集・年鑑がひとまとまりに並ぶ、以外のメリットはない気がする。

新しい本は良い本だ、とまでは言わないけれど、一般的に必要とされるのは、なるべく新しい本。情報はもちろん、活字や体裁が古臭い本は敬遠されることが多い。逆に古い本や古典的な本を探しているお客様はちゃんと発行年月を確認したり、指定したりできる。よって、検索結果の表示順は「出版年降順(新しい順)」がデフォルト。

「見つかりませんでした」じゃなく「カウンターへどうぞ」(+0.1)

あれこれいじってみて「ヒットした資料:0件」「条件にあう資料は見つかりませんでした」じゃあ、探してる本がその図書館にないのか、探し方がまずかったのかわからない。そもそも、どっちもお客様に失望と恥ずかしさを味あわせるだけ。

それより、職員に声をかけてもらえるようにうまく促すメッセージを伝えるべき。できれば、これをもってカウウンターヘダッシュ、的な「お問い合わせ優先受付券」みたいなのが自動で印字されるといいかも。職員に声をかけてもいいんだ、すぐ対応してもらえるんだ、と思ってもらうのが何より肝心。

簡易検索は「フリーワード」一択(+0.1)

OPACの簡易検索画面には「書名」「著者名」「出版社」の三つが並んでることが多い。慣れない人向けに、なるべく枠を少なく、との配慮なのだろうけど、それならいっそのこと、フリーワード枠ひとつで十分では。

特定の著者の本を網羅的に読みたい、とか、この出版社で、書名が何とかいう本、なんて条件付きの(書誌要素が切り出せてる)探し方をしようと思う人は、詳細検索画面がちゃんと使える気がする(要検証)。簡易検索というからには、枠は潔く一つ、書名から内容紹介まで串刺し検索できるフリーワード検索で決まり。フリーワードがなければ、いっそのこと書名のみでも可。

ただ、最近の本は、書名に趣向を凝らしたものが多いから、"株"とか、"犬_飼い方"のような一般的な語をキーワードに検索するとヒットしにくい。こういう時こそ、分類や件名の出番なんだけど、一般のお客様には「ケンメイ、何それおいしいの」状態なので、システムで何とか支援したい。ヒットした資料の件名や分類を何件か先読みして、「"株式相場"で検索してみませんか」とか、「"関係する分類(645.6)"の本を検索してみませんか」とサジェストしてくれるとベストだけど、それこそディスカバリーサービスじゃないと無理かあ。件名とか、うまくOPACに活かせるといいのになあ。

待っていても来ないならこちらから行く(+α)

以上、すでにどこかで実現されてる機能もあるけど気にしない(1.3じゃなく1.003じゃんという批判は甘んじて受ける)。ちょっとずつでも使いやすく探しやすくしていくことで、OPAC1.0からちょっとずつ進化できるのでは。もっとプラスされて1.5ぐらいになったら、四捨五入すれば2になるわけだし。

ちょっとしたカスタマイズで実現したことが、次期バージョンではデフォルトになってる、なんてよくあること。設置しておしまい、あとはリプレースまでそのまんま、棚ボタ的進化を待つんじゃなくて、ベンダーさんと連携(という名のクレーム出し)しつつ、細かなプラスアルファをしていくことが大事だと思う。

レファレンスサービス、君の名は

遅まきながら、『日本の図書館におけるレファレンスサービスの課題と展望』をちまちま読んでいて、おっと思ったことがある。レファレンス質問の受付スぺースの名称に関する分析のところだ。

多くの図書館で、レファレンスの受付スペースの名称や案内表示が違っていることを指摘し、「利用者向けの平易な表現が用いられていること,また,多様な名称が用いられていること」(64p)に一定の理解を示している。そのうえで、同じサービスの名称が図書館によって異なることに「利用者を混乱させることにつながる危険性もある。すなわち,レファレンスサービスを普及させるという点では,デメリットになることに目を向ける必要がある」(同)とあって、そういう考え方もあるなあ、と思った。

レファレンスサービスの根づかなさの理由を、その呼称のなじみのなさ、わかりにくさに求めることはよく云われるところ。で、同書に挙げられている例でも、「「相談カウンター」「レファレンスデスク」「読書案内」「参考図書コーナー」「本の案内」」(63p)等々、各館で様々に「わかりやすくする」ための言い換えがなされているようだ。とはいえ、なかなかコレという決定版があるわけでもなく、わかりやすく言い換えれば言い換えるほど、異名ばかり増えていくというジレンマに陥っている。

もちろん、同書も指摘するとおり、レファレンスサービスの中身自体、図書館によって差があることも大きく影響してるのだろう。

いっそのこと、日本図書館協会がレファレンスサービスの呼称を公募して決めたらいかがか、とか思う。まあ、E電(古いな)しかり、母さん助けてなんとかしかり、お仕着せの名前って、これまたなかなか根付かないもんだけど。それとも、インパクト重視でキラキラネームっぽい四字熟語にしてみるとか(以下自粛)。

ちなみに、最近、巷でよく聞くようになったコンシェルジュって言葉も、かゆいところに手の届くホテルの総合案内人や有能な執事なんかを漠然と想像するけれど、『モバイルミュージアム』によると、創造的な自主企画ではなく、お仕着せの巡回展やお決まりの所蔵品展でお茶を濁している学芸員のことを、フランスでは皮肉をこめて「コンシェルジュ(管理人)」と呼ぶそうだから(p17)、必ずしもいい言葉ではなさそうだ。

呼び方って難しい、と思った今日コノゴロ。